書評ライターKonomuの苦悩

フリーライターの悩みと打開策、日々の出来事などいろいろ書いています。

いま一番磨きたいスキルは「共感力」

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2018年に入って今4冊目の本を読み始めたところです。
そのうち2冊は、”ストレスになるなら逆効果”、的なことが書かれています。

私の場合、ストレスになることって何かなぁと考えたとき、やはり「『収入』や『お金』について考えること」が一番に浮かび上がります。

やりがいのために働くのはまったく問題ないのに、やりがいだけでは食べていけません。

困らないためには、私の思う「人のため」と他者が求めるニーズがマッチする場所で仕事をする必要があります。

そのために『共感力』により一層磨きをかけたい。
ただ磨くだけでなく生産効率を上げるために、より短時間で、より深く共感できるようになりたい。
誰かの気持ちにコミットしたい。

それができるのであれば、私はゴーストライターでもかまわないのです。

求人広告に必要なスキルも言ってみれば共感力です。
求職者がその企業で働きたいと思えるか、募集をかけようとする企業がこの内容で掲載したいと思えるか。

書評だってそうです。
書評を読んだ人が対象となる本を読んでみたいと感じるか、なんなら買いに(または借りに)行こうと動けるか。

ちなみに、私の中で書評、書籍紹介、読書感想文の3つはそれぞれ異なるポジションにいます。

  • 書評:本の立場に立って書く
  • 書籍紹介:誰かの立場に立って書く
  • 読書感想文:私の目線で書く

これはまた別のお話で。

共感できる or 共感させられるものであれば、”書く”に限らずどんなことも仕事にできる気がします。

ただ、この共感力は私にとって諸刃の剣です。
もともとエンパス度が高い私にとって、磨いた結果が吉と出るか凶と出るか。

何ごとにも共感してしまうため、組織に属していたときは生きづらかったですが、組織に属さない今、共感できるものを自分で選べるというのはある意味しあわせかもしれませんね。

こう書きながら、エンパスもネタになるな、など考えています。

お金に好かれる人になる

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小正月まであと9日あるので、まだ大丈夫ですね。

あけましておめでとうございます。

2017年を振り返ったり2018年の抱負を掲げたりしようかと思っていましたが、咳喘息がひどくなり、おまけに毎日天気が急変するため、寝込む日々が続いた年末年始で、あまり新年感なく2018年を迎えました。

Twitterでちょろりとつぶやきましたが、今年は誰かのために動き、誰かの役に立つような、誰かに寄り添えるような、そんな1年にしたいです。

お金について考えないことにします。

いえ、お金は大切ですし、お金のことはしっかり考える必要があると思います。

ここで言う『お金』は『収入額』。

昔から「お前いま年収なんぼ?」とか「いくらボーナスもらった?」とかいう会話が嫌いです。高収入であろうと、その人自身の価値は変わらないわけですし、たくさん稼いだ人はそれだけ頑張っているのだろうし。

こと『収入額』に関して本当に無頓着な性格でした。
お金持ちでなくとも、お金に困ったことがなかったからもしれません。

とあるクラウドソーシングを利用していたときも、そこそこの額の報酬を1年ほど放置しっぱなしで、なかったお金としていましたし。

昨年とある期間、そのスタンスを見直し『収入額』を意識して日々過ごしていたのですが、そうすると不思議なことに、お金が寄ってこなくなったのです。

あ~、やっぱりな。と思いました。

お金のために頑張るとお金に好かれなくなる。それが私。
誰かのために生きていれば自然とお金に好かれる。それが私。

あまりお金のことを考えず、人に尽くすことをやっていれば心も満たされてお金も自然と回ってくる。(と、machuno( @mcnx27 )さんにも保障してもらった)

そして必ずといっていいほど誰かが助けてくれるのです。

私はとにかくブレやすいタイプなので、「人のために生きる」は誰に何を言われようと貫いていきたいと思います。

『お金』は必要なものを買う分だけあればいい。
『お金』は有形・無形にかかわらず自分の財産になるものに使う分だけあればいい。

人のために生きると、誰かに振り回されることも確かにあるけれど、それが私らしく生きることにつながるなら、それはそれで仕方ないや~。

書けば書くほど思考の迷路に迷い込む、それが書評

あと38時間ほどで2017年も終わりですね。
結局あまりブログを書けなかったなぁ。

新聞社のWebサイトで書評を手がけさせていただくことになって早1年半が経ちます。
今年は31冊、担当させてもらいました。

最初に読んでくれるのが案件担当者。
それ以降は(おそらく)出版社の担当者。

そのあと公開になって、いろいろな人の目に触れることになります。

公開の度、読んでくれる人もいます。
「読みたくなった」という言葉が一番うれしいです。

1年半前の書評を見ると文章はそれはそれは拙いもの。
でも、今よりもっとシンプルに本と向き合えていた気がします。

さて、今年公開された書評はこちら。
本ブログにURLを貼っていいと言ってくださった担当者に感謝です。


個人的に衝撃を受けた作品の書評の冒頭におすすめマーク「★」をつけています。
後半に出てくるかと思うので、そこそこ頑張ってスクロールお願いします。

 

www.nishinippon.co.jp

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こちらは表紙もですが、中に撮りおろしがあってトップコート松坂桃李くん・菅田将暉くん所属事務所)最高!ってなります。

 

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真の教養人になるための指南本! あなたはわかりやすく伝えていますか? - 西日本新聞

 

 

こちらはビジネスパーソンにも在宅ワーカーにも、子育てママさん・パパさんにもおすすめです!

書くことを仕事にしている人にも、文章の書き方のノウハウ本よりもずっとためになると思います。

 

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『謎解きはディナーの後で』の作者さんの作品です。

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強靭かつ繊細。異質な存在感を放つ、女性公安刑事が主人公のノワール小説 - 西日本新聞

 

最近の警察小説の中では衝撃的な作品。
続編連載も決まっています。


ニューヒロイン誕生!といったところです。

とにかく面白いので、ぜひ多くの人に読んでほしい。

 

 

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もし過去に戻ることができるのなら、あなたはどんな未来を選びますか? - 西日本新聞

 

タイムパラドックス要素を含む小説、さらに洋書訳書は非常に苦手とするところなのですが、これはタイムパラドックスの違和感を最小にしつつ、かつ、人間味の深い作品です。

不覚にも泣いた。
会いたい誰かがいる人は、この本読んで、心の澱をほぐしてほしいです。

 

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姫川シリーズ待望の最新長編! 世相を巧みに描いた社会派ミステリー - 西日本新聞

 

姫川シリーズはやはりおもしろいです。
本作は、日本が直面しているさまざまな国際問題、社会問題が盛り込まれていて、読んでいて胸が痛くなりました。

 

自由に生きることを大切にすれば、しあわせに生きられる! - 西日本新聞

 

いやぁ……年収を見て婚カツしているような女性にぜひ読んでもらいたいです。
お金の話がわかりやすく書かれています。

 

 

 

上海租界に実在した上海自然科学研究所を舞台とした壮大な歴史ロマン - 西日本新聞

 

フィクションとノンフィクションが混ざっていて。
以前、ちきりんさんのブログで読んだ中国にある人体実験施設とかかわっているんだろうな、と思ったり。


2018年分もすでに3冊、手元に届いています。
大御所作家さんのものがあるのでドキドキです。
話題の書籍もありワクワクです。

私は小説を担当させていただくことが多いので、ハウツー本や自己啓発本を紹介することはあまりありませんが、小説は自分が歩むことのない人生を経験することができます。

ぜひ、小説を通して疑似体験を。

最後になりましたが、アマゾンアフィプログラムに参加しています。
まだ使い方がよくわかっていないのですが、本気おすすめ本の紹介のときは使わせていただこうかな、と思っています。

【書評】11月も無事公開!~毎日たくさんの本が発行されている~

10月は記事作成だけでなくイベントレポや講習会のパネリスト登壇など、さまざまな仕事に関わることができた月でした。

そして怒涛の日々を駆け抜け迎えた11月。
なんとなくぼけっとしてしまっているので、気合いを入れなおさなければいけないと思いつつももう中旬です。
12月は頑張ろうと甘やかしまくっています。

さて、11月も無事書評が公開されました。今月は2冊、どちらも小説です。
小さい文字のところが書評になるので、お時間ありましたら読んでみてください。

『浅き夢みし』
作者:佐伯泰英
廓の用心棒・幹次郎の活躍再び! 吉原裏同心シリーズ新章待望の第二弾! 

浅き夢みし: 吉原裏同心抄(二) (光文社時代小説文庫)

浅き夢みし: 吉原裏同心抄(二) (光文社時代小説文庫)

 

吉原裏同心シリーズはドラマ化もされてる作品です。
シリーズ新章の第二弾だったので、全体像を把握するのに時間がかかりました。
裏同心シリーズは25巻あるので、これから少しずつ読んでいきたいです。

佐伯氏は主にノンフィクション作品を発表されています。

物語もおもしろいのですが、そのおもしろさをより際立たせているのが巻末にある国立歴史民俗博物館教授の横山百合子氏による解説です。

フィクションの遊郭像と歴史研究から浮かび上がる遊郭像との違いについて解説が書かれているので、歴史も学べちゃいます。

あなた、そこにいてくれますか
作者:ギヨーム・ミュッソ 訳:吉田恒雄
もし過去に戻ることができるのなら、あなたはどんな未来を選びますか? 

あなた、そこにいてくれますか (潮文庫)

あなた、そこにいてくれますか (潮文庫)

 

「過去に戻ることができるのなら―」
「やり直しがきくのなら―」

永遠の命題ですよね。過去を振り返っても仕方がないとわかっていても考えてしまうものです。

私は理系出身で物理学などを学んでしまったばかりに、タイムスリップものはどこか冷めた目で見てしまうことが多いです。

日本中を感動の渦に巻き込んだ『君の名は。』ですら、発生したタイムパラドックス(矛盾)はどこで回収するのか、と考え込み、楽しめなかったというひねくれものです。

ですが、この『あなた、そこにいてくれますか』は最小限の矛盾で現在・過去・未来と時間軸を展開しているところに、唸らされました。

洋書はほとんど読まないのですが、ギョーム・ムッソの本は読んでみたいですね。

小説はそれ1冊で自分以外の誰かの人生を体感できるものです。マンガも同じく。

よく「本を読め!」と言う人もいますが、私はあえて「小説やマンガを読んでね」と言いたいです。

自己啓発本やハウツー本から得られるものは作者の技術や価値観です。
でも小説やマンガは違う。さまざまな世界・価値観が広がっています。

あぁ。書評の仕事をもっともっとやりたいです。

思いがけないところにランサーズのからくりが!ランサーズカテゴリー、思ったとおりに表示されていますか?

先日、名もさんから「Konomuさん、カテゴリがタスクワーカーみたいなのになってましたよ。」と教えてもらいました。

「え?」と思いランサーズのプロフィール画面を確認したところ、私の画面から確認できたのは、やはり『ライター』。

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どういうことだろう?と思っていたところ、「ランサー検索ってできるじゃないですか、あれで検索してみるといいですよ。」とまたまたアドバイスをもらいました。

早速自分で自分を検索。すると……

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ほんまや。「タスク・作業」になっている。

でもどこから直せばいいのか皆目見当がつかず。

ランサーズのお問い合わせフォームから、「タスク・作業になっているのですが……」と送信。(このときはランサーズで受注している案件のカテゴリーが要因じゃないか、とランサーズのせいにしていました。ごめんなさい。)

問い合わせ翌日、サポートチームから以下のような返事が。

「たしかに、「タスク・作業」と表示されていることを確認いたしました。
上記について「ライティング・ネーミング」へ変更できるか確認のうえで、追ってご連絡いたしますので、恐れ入りますが今しばらくお待ちくださいますようお願いいたします。」

そしてその翌日。とてもていねいな回答をいただきました。

「お問い合わせの件につきまして、ご回答をお待たせいたしました。
ランサーを探すページに表示されるカテゴリの仕組みについて、ご案内いたします。」

ふむふむ。

「Konomu様のプロフィールページで登録しているカテゴリのうち、最も多いカテゴリの親カテゴリが、検索画面で表示されるようになっています。

え、そうなの?!

「「ライティング・ネーミング」をKonomu様の登録カテゴリとする場合、下記いずれかの方法により可能です。」

  • 「ライティング・ネーミング」カテゴリ下のカテゴリを他カテゴリより多く登録する。
  • 「タスク・作業」カテゴリで登録しているカテゴリを「ライティング・ネーミング」カテゴリより減らす。

「以上、お手数をおかけしますがご確認ください。」

早速、プロフィールページの『編集』から『カテゴリ』を確認。

確かに「ライティング・ネーミング」のカテゴリのチェック数が「タスク・作業」のチェック数より少なかったのです。(「ライティング・ネーミング」が6に対して、「タスク・作業」が9)

チェック数を変え、再び自分で自分を検索してみると……

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変わった!

こんなの知らなかった。また一つ賢くなりました。

「たとえばランサー検索をつかって、お客さんが、「書評」とかでライターを探すかもしれないし。そんなとき「この人タスクワーカーかあ」って思われたら損かなと思いまして。」と名もさん。

自分で自分を検索することなんてないので、教えてもらわなかったらずっと気づかないままだったと思います。大感謝です。

ランサーズ機能についてはもちろんですが、名もさんのようにいろんな視点から物事を捉える力を養わなければならないな、と改めて実感しました。

ランサーズに登録されている方には、プロフ上の表示だけでなく、一度自分で自分を検索してみることをおすすめします。

とあるディレクターの所感「Webライターは大きく3タイプに分かれる」

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自分はまだまだだ、と思うWebライターさんの中で、

「あぁ…どうしてこの記事を書くのにこれだけ時間がかかるんだろう」
「テーマはそこまで難しくないのに書けない」

などなど、泣きたくなることはありませんか?私はあります。ありまくります。

おそらく、ですが、そうしたWebライターさんは、自分がどんなタイプのライターかをまだ把握しきれていないのだと思います。(偉そうにごめんなさい)

9月某日、所用がありランサーズ本社へおじゃましました。

そこで、とあるディレクターと話をする機会があり、「所感だけれど受ける印象としてWebライターは大きく3つのタイプに分かれると思う」と興味深い意見をいただきました。

私の所感も交え3タイプの特徴を以下にご紹介します。

大衆向けノウハウ記事ライター

ターゲットがある程度広く、多くの人にとってわかりやすい記事を書けるタイプ。
記事作成において一番時間をかける工程は、5W1Hの設定と執筆。
自分の得意分野、好きな分野であれば高い生産性を誇る。

広告記事向けライター

ターゲットを絞った広告記事が得意なタイプ。
記事作成において一番時間をかける工程は、ターゲット設定と商品・サービス・店舗の訴求ポイント設定。
ジャンルや分野は問わない。一旦アイデアが浮かべばすらすら書けてしまう。
書き手・読み手のペルソナ設定ができないと、文章も思い浮かばない。

小説家タイプライター

ストーリーに引き込む小説のような書き方ができるタイプ。
記事作成において一番時間をかける工程は、プロット(あるいはプロットに近いもの)作成。
読みやすさはずば抜けている(と思う)。

私は”広告記事向け”です。ノウハウ系を書くのはとても苦手です。
小説家タイプにあこがれてもいるので、プラスアルファのスキルを身につけたいと思っています。

あくまで大分類で、その中でもかなり細かく分かれますし、なかにはすべてのタイプを持ち合わせるハイスペックライターもいると思います。

どんな仕事が自分に合うか、どんな仕事は自分にとってチャレンジングなのか、仕事選びの参考程度になれば幸いです。

ランサーズへおじゃました理由は下記対談です。外注を考えられている企業さん向けの記事です。
確かにライターを闇雲に探すよりかは、最適なコンテンツ制作チームをつくることができるかと思います。
一定スキルを持つランサー(ライター・チェッカー)が集うし、仕事を続けていくうちにそのスキルがどんどん高まります。(言い換えると優秀なランサーさんしか残らない、という……)

www.lancers.jp

【書籍紹介と読書感想文|桐島、部活やめるってよ】子どもでもなければ大人でもない、17歳のリアルな青春物語

昨日、【書評】【レビュー】【書籍紹介】【読書感想文】についてフォロワーさんたちとしばし熱く語るひとときがありました。

世の中、読書感想文めいたものを【書評】と称するものがたくさんあり、個人的にもやもやしていたのですが、皆さんの意見を聞いて私だけがもやもやしているわけではないのだなぁ、とほっとしました。

”自分”が登場する時点で、もはやそれは【書評】ではない、というのが私の持論です。
「~と思う」「~は私に足りてない」「感動した!」といった言葉が登場したら、それは【レビュー】か【読書感想文】(二つは同じカテゴリーだと考えています)です。

どれらも同じく”本の紹介”なので、いずれかが最良で優秀、というわけではありません。なので、内容によって、私は「これは読書感想文やねん!」と堂々と言いたいです。

「よし!読書感想書こう!」と思い、自分的ネタを探したところ【書籍紹介】と【読書感想文】が混ざっていたネタがほとんどだったので、今回のタイトル冒頭は【書籍紹介と読書感想文】となりました。 

前半、書籍紹介。後半、読書感想文。と2部に分けてご紹介します。

桐島、部活やめるってよ』ざっくりとしたあらすじ

著者、朝井リョウ氏は、本書で第22回小説すばる新人賞を受賞し現役大学生作家としてデビューを果たしました。
2012年に神木隆之介主演で映画化され、一躍その名を世に知らしめた有名な作品です。映画は日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しています。

本書は5名の登場人物名を各章のタイトルにしたオムニバス形式の小説。

田舎の県立高校バレー部のキャプテン・桐島が、突然部活をやめたのが事の発端。たったそれだけの事実が、周囲の同級生の心に、まるでスポイトでしずく一滴を落としたように小さな波を起こしていきます。部活も校内での立場もまったく違う5人それぞれに起こった小さな変化とは……

17歳、真っ白なキャンバスに希望に満ちあふれる未来を描けるほど幼くはなく、はっきりとした夢を持って駆け抜けられるほど大人でもない微妙な年齢です。これじゃダメだとわかっていてもなんとなく過ごす日々。

クラス内での上下を気にしたり、同級生をうらやんだり、自分を諦めたり。大人になってある程度の余裕を持って振り返れば、なんてちっぽけなことで悩んでいたんだろうと思うことも、17歳の彼らにとってはいつも真剣で、高校を卒業するまでつきまとうものなのでしょう。

本書で面白いのは、『桐島、部活やめるってよ』というタイトルにもかかわらず、桐島が一切登場しない点です。”桐島という存在の不在”で17歳の気持ちを生々しく描写し得た、当時19歳の著者のセンスに驚かされます。

きっと私自身もそうだった

自分は誰より「上」で、誰より「下」で、というのは、クラスに入った瞬間になぜだかなんとなくわかるものでした。自分の役割を果たすのに、立場を務めるのに必死だったように思います。

小学生・中学生時代の私は、”THE 優等生”だったので、先生や親の期待に沿う子どもでいなければ、という意識がありました。高校はやはり同じレベルの生徒たちが集まるので、そうした意識から解放されほっとしました。

一番楽しく充実した学生生活を過ごせたのは高校です。なので母校愛もめちゃくちゃ強いです。

大学ではもはや”THE 劣等生"。愛嬌だけで乗り切った気がします。勉強はつらかったけれど、とても気楽でした。

社会人になって、小・中の同窓会で友人に再会することに戸惑いを感じたこともあります。ひとたび再会すると、当時の記憶はあいまいで美化されていて、必死だったことも「青臭かったなぁ」という一言で片づけられてしまうのですが。

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

 

次こそは純粋な【読書感想文】を小学生の頃に課された原稿用紙4枚程度の文字量で書いてやる!と思っています。