「神戸 #ライター交流会」レポートその1~トークセッション:関西人魂が世の中を面白くする!~
みなとこうべ花火大会と淀川花火大会が同日開催された2017年8月5日(土)。
鑑賞スポット近くにある、KIITO | デザイン・クリエイティブセンター神戸で、『神戸 #ライター交流会』がありました。
折にふれて「交流会は苦手だ」と言っている私ですが、心から(行ってよかった!)と思う交流会でした。
なんだかカタチとして残しておかないともったいない気がするので、神戸ライター交流会の開催概要からトークセッション、質疑応答タイム、交流会の様子や参加した感想を3~4回に分けてご紹介します。
全部まとめて紹介すると、とてつもなく長くなってしまいますし、実際の交流会でも合間合間にトイレ休憩があったので、読んでいただく方もそれぞれのテンポで読み進めていただけたらと思います。
今回は開催概要とトークセッションについての紹介です。
『神戸 #ライター交流会』開催概要
コンテンツメーカーの有限会社ノオトが企画・継続しているクリエイターのためのイベント、それが『#ライター交流会』です。
2017年2月に開催した『地方在住ライター会議 ~脱・東京の働き方~』の参加者のうち25名が東京、30名が地方であったことから、今年の春から全国で開催されはじめました。
以下、開催概要、タイムテーブル、ゲスト(一部省略)の参照元はイベント紹介ページとなります。
開催概要
日時:8/5(土)16:30受付開始、17:00開始、19:30終了予定
場所:KIITO 301
住所:兵庫県神戸市中央区小野浜町 1-4 デザイン・クリエイティブセンター神戸
主催:有限会社ノオト
協力:大越 裕(パスカル)、宰井 琢騰
タイムテーブル(予定)
16:30 受付開始
17:00 トークセッション:関西人魂が世の中を面白くする!
17:45 休憩+グループ分け+質問検討
18:00 質疑応答
18:20 交流会(軽食、ドリンク付き)
19:30 終了+後片付づけ
20:00 完全撤収
ゲスト
近藤雄生(こんどう・ゆうき)さん
ライター、理系ライター集団「チーム・パスカル」メンバー。
ウェブサイト:www.yukikondo.jp
Twitter:@ykoncanberra
ヨッピーさん
Webライターとして「オモコロ」「Yahoo!Japan」「トゥギャッチ!」「ぐるなび」「ライブドアニュース」「ねとらぼ」「オモトピア」など多数の媒体で活躍中。
Twitter:@yoppymodel
社領エミ(しゃりょう・えみ)さん
株式会社人間の書けるムードメーカー、Webを中心におもしろい記事を書こうと日々奮闘しているライター。
Twitter:@emicha4649
宮脇淳(みやわき・あつし)さん
コンテンツメーカー・有限会社ノオト設立者。
「品川経済新聞」編集長、コワーキングスペース「CONTENTZ」管理人、コワーキングスナック「CONTENTZ分室」オーナー。
Twitter:@miyawaki
トークセッション
ここから司会は宮脇さん、敬称略で紹介していきます。
まず登壇者お三方の自己紹介から始まりました。
宮脇:登壇者の皆さんの自己紹介からお願いします。では近藤さんから。
近藤:大越と一緒に理系ライターズ、チーム・パスカルで活動しています。個人としてはノンフィクションを書いています。
大学院卒業後、ライターとして活動していこうと思ったのですが、日本でライターとして食べていける気がしなかったので、東南アジアなら生活費が安いし、100万円くらいあれば、3年くらいはライターとしてやっていけるだろうと思って、日本を出ました。
5年ほどユーラシア大陸を横断して、ライターとして、物書きとして活動しています。
雑誌新潮45で『吃音と生きる―百万人の知られざる苦悩』という連載を持たれている近藤さん。今度書籍化されるそうです。
宮脇:ありがとうございます。はい、ヨッピーさん。よろしくお願いします。
ヨッピー:ヨッピーと申します。元々サラリーマンをしてたんですけど、30くらいで会社を辞めまして。
インターネットでブログを書くのが好きで続けていたんですけど、それつながりでちょろちょろ仕事がきて、気づいたら転職活動もしないまま今に至るという感じですね、はい。
最近はSPOTというメディアを一生懸命やってまして。キュレーションメディアが調子こいてうっとおしいので、ちゃんと取材して書こうと思ってます。こちらは常にライターを募集しているので、皆さんにも書いていただけたらな、と思います。
宮脇:じゃあ次、社領さん。社領エミさん。よろしくお願いします。
社領:株式会社人間というところからやってきました。ここ2年くらいヨッピーさんの記事を2~3倍くらい薄めた記事を量産してるんですが、Webを中心としたライティングをやっています。
ヨッピーさんと社領さんは少し前に一緒に仕事をされたそうです。
persol-tech-s.co.jp
理系ライターの近藤さんも「わかりやすくて的を射ていましたよ」とおっしゃってました。
Q1.実際儲かるのか
司会者の目線はすっとヨッピーさんの方へ。
ヨッピー:いや、そんなに儲かってないですよ。どうしたらいいんですかね。いや、儲かってますよ、多分。ただ僕、声を大にして言いたいのは、手間暇かかってますよ。時間もお金もかかるので、その分予算も大きいというだけです。
もらったお金は無駄に使ってしまうというヨッピーさん。
あまりにも支持がなく飲み会も誘われないので、ヨッピーと5回飲んだらハワイ旅行があたるというキャンペーンをやったこともあるのだとか。(クリアするのに半年かかったらしいです)
宮脇:社領さんは目指しているところ何かありますか?
社領:ヨッピーさんってフォロワー何人くらいでしたっけ?
ヨッピー:9万人くらい?僕より上なんていますけど、PV数とかで言えば、僕、勝っちゃうんですよね。
社領:ファンを増やしていきたいです。ファンを増やすために意識してることってあるんですか?
ヨッピー:ないですよ。
社領:純粋に記事だけ?
ヨッピー:純粋に記事だけ。あとはみんながやらないことを代わりにやるだけ。期待に応えることが大事なんですよ。
Q2.いまホットなライターって誰?
近藤:ノンフィクション作家の石井光太さん、角幡唯介さん。ちょっとライターとは違うかな。
ヨッピー:童貞東大生の高野りょーすけ。彼を贔屓にしていて、イチオシですね。気合いがすごい。
社領: 今日も来てもらってるんですけど、かのうしゃちょうさん。気合いの入り方がすごい。予算こんだけやでって言っても、それ以上使ってくれてると思うし、納期について無茶を言ってもすごいいいものを出してくれる。
宮脇:僕が注目しているのは林雄司 (@yaginome) さん。
portal.nifty.com
”ホットなライター”と表される方々は文章がうまいライターではなく、気合いの入り方がすごいライターである、ということがわかりました。
Q3.注目のメディアは?
ヨッピー: オモコロの文字そば。
omocoro.jp
写真を一切使わないの。文章だけだから新しい脳みそを使う。文章そのものにフォーカスをあてるので、勉強になる。これねぇ、やんないとダメだと思う。この記事がどうかは置いといてね。
宮脇:これ、実況中継できないですよ(笑)。ネットの原稿って写真と連動させることが多いですよね。
社領:私がやっているのって、マンガ的なものなんですよね。テキストの力を磨きたいなっていうのはあります。
近藤:僕の場合、紙メディアになるんですけど、新潮社の『考える人』。(今年春より休刊)紙とWebでは、拡散という意味で紙の無力さを感じますね。
紙の良さって「制限があること」。このページのここまでしか書けないっていうのは、文章のクオリティに関係していると思ってるんです。とはいえ、どれだけの人が読んでいるのか、という現実がありますね。
(ここからは『雑誌』が立たされる厳しい現実、暗い話がしばし続きます……)
ヨッピー:(雑誌のオファー)ありましたよ、断りましたけど。雑誌の連載ってやっぱりファンが増えないんですよ。ファンを形成するって大事だし、それをしようと思うとインターネットって大事だなって思うんですよね。
宮脇:メディアを運営する話になると暗くなっちゃいますね。
Q4.仕事を受注するために心がけていること
近藤: 理系ライターパスカルの場合、理系でチーム組んでライターやってます、とWebサイトで謳っただけで。
「理系 ライター」で検索すると僕らぐらいしかあがってこないんです。でも、理系の需要ってめちゃくちゃあるんです。
理系ライターっていっても、興味があれば、理系じゃない人でもなれるんですよ。
宮脇:難しいことをわかりやすく解説するってむちゃくちゃ重要ですよね。
近藤:そうですね。地域性で言うと、自分がそこに住んでいるからこそ書ける何か、ネタを見つけていくことは常に意識していたほうがいいのかな、と思いますね。
宮脇:ヨッピーさんはSPOTやってるので、割といろんなライターさんほしいわけですよね?
ヨッピー:関西は少ないかな、というか全体的に手薄ですよ。
社領:私は、株式会社人間の広報という存在でもあるので、どこまで体張らせてもらえるんか、どこまでおもろい要素を入れられるんかっていうのは重視していますね。ただ受注するために心がけていることは……あんまりないや。
ヨッピー:僕が心がけたほうがいいんちゃうかなって思うのは専門分野を作ること。
僕、ライターの仕事をはじめたとき、どのポジションを狙うかをけっこう考えたんですよ。最初狙いに行ったのが広告。広告の記事を書けるライターってポジション空いてるぞ、かつおいしいぞ、と狙って行ったらおいしかった。
考えなきゃならないのは、狙うポジションとそのマーケットの大きさ。自分が行こうとしている業界がどれくらいのマーケットで、かつどのくらいライバルがいるかを考えると、おいしいポジションが必然的に見つかるんじゃないかな。
宮脇:意外と考えてるんですね。そう考えたら理系ってすごいですよね。
近藤:僕らはごまかす力がすごいというか。いまあらゆることがサイエンスにつながるじゃないですか。理系に抵抗がなければ、多分、やっていくうちにできるようになる。物理のことは難しいけれど、医療とかなら興味次第かな。
Q5.関西人魂を原稿に生かしていますか?
社領:関西人魂って何なんですかね?なんかネタを入れな気が済まんってところはあると思うんですけど。
宮脇:ヨッピーさんはぜったい生かしてますよね。
ヨッピー:調子に乗りやすいところ。僕は調子に乗りやすいところを長所として捉えてますよ。なるべく調子に乗ろう、と。
宮脇:たまに調子こいてる人に対してめちゃくちゃ厳しかったりしますよね。
ヨッピー:実態が伴っていない調子こきはね。実際、調子に乗るっていうのは「いいですよ、やりますよ。」と簡単に言っちゃうところ。フットワークの軽さですよね。無謀なこともついやってしまう。
~ここからは少し脱線~
東京出身の近藤さんは奥さまが京都出身で、海外生活が終わった後、奥さまの希望で京都に拠点を置かれたそうです。
宮脇さんの出身である和歌山は『近畿のおまけ』で、どちらかといえば奈良にシンパシーを感じるとか、そうした小話で盛り上がりました。
宮脇:関西人のおもしろさって、僕の仮説ですけど『探偵ナイトスクープ』を見てるからかなと思うんですけど、ヨッピーさんどうですか?
ヨッピー:僕なんてほんとそうですし、今でもバイブルですよ。
社領:東京にわざわざ出る関西人ってかなりバイタリティがあると思うんですよね。だから「おもろい関西人」が行ってるはず。
というような話で、会場では常に笑いが起きていました。
Q6.フリー?会社員?人生100年時代の生き残り策は?
宮脇:この中でフリーランスといえばヨッピーさん。あと近藤さんもパスカルとはいえ、フリーランスですよね。社領さんは人間という会社の社員。
どっちがいいとか悪いとかではないんですけど、これからみんなめちゃくちゃ長生きすることを考えると、どうやって生きていこうって考えてますか?
社領:私、3日後のことしか考えてないかも。私の場合、マッチする会社と出会えたから上手くいってるんだと思いますけど。どうなんだろう、フリーランスの方が生きやすいんかな。
宮脇:ヨッピーさんがフリーランスになったきっかけは?
ヨッピー:会社で転勤って言われて、転勤したくないなって。
フリーランスでお金稼ぐことってそんなに難しいことじゃない。サラリーマンで月収10%上げるより、フリーランスで月収10%上げる方が簡単なんですよ。
サラリーマンで月収30万円を10%上げようと思ったら上司にこびへつらい、キミいいね!って言われてようやく、じゃないですか。
フリーランスの場合、口先三寸(※これ、正しい言い方は舌先三寸です)でどうにかなるし、土日どちらか1日頑張ればいいわけだし、フリーランスのほうがいいと思うんですよね。
近藤:フリーランスって思ったより稼げると思うんです。ただ、自分が弱ったときに崩れるなって。それが怖いですね。
ヨッピー:それはありますね。僕も病気して入院してたときは収入ゼロになりましたからね。
宮脇:なるほど。僕が質問として項目にあげたのは、ライターだけの仕事・書くだけの仕事だけで、ずっとやっていけるのかってことで。ヨッピーさんは企画的なこともやってますよね。
ヨッピー:僕、2016年の目標が記事を書く以外に仕事を増やす、だったんですけど、それができてなくて。2017年もそれを目標にしていて、そしたら・・・(これ以降はオフィシャルかどうかわからないので伏せます!)
ポジションを模索するタイプなので、いろいろやってます。生き残るために。(これ以降もオフィシャルかどうか分からないので伏せます!)
宮脇:社領さんは社員としてお給料もらっていると思うんですけど、何かありますか?
社領:今は記事のお仕事が来るのでそれを精一杯やるのと、社内の企画を精一杯やるってことをしてるんですけど・・・質問ってなんでしたっけ?
会社外で働くということはまだ考えてないですね。おもしろいことやものづくりもできる環境でもあるので。
トークセッション終了!そして・・・(その2に続く)
17時から始まったトークセッションは予定時間を20分ほど押して終了しました。
一部割愛していますし、言葉尻などは少し違うかもしれませんが、事実と異なる内容は書いていません、書いていないはず。
ヨッピーさんの「”マーケット×自分の好きなこと”でポジションをつくる」という話には、ハンマーで頭を殴られたかというくらいの衝撃を受けました。
いえ、基本中の基本なのですが、こうして言葉で簡単に説明できる人ってそう多くないでしょう。
近藤さんの「制限があること」には共感しました。
私もどちらかと言えば書いたものを削るタイプだし、いかにこの枠に収めるかが勝負な仕事もあるので、制限があるからこそ文章構成力が磨かれると信じています。
ブログで6,000字超えるのは初めて。本気のレポートです。
当日、参加したくても参加できなかった人に、少しでも伝わればいいな、と思います。
あと。写真がなくてごめんなさい。
個人的に、誰かがしゃべっている時に写真を撮ったり、スマホをいじったりするのが好きじゃないんです。
声だけではわからない熱量をちゃんと感じていたい、というのが私の信条でして。
誰かが話すそばからスマホで検索かける時代になったのだな。それでも私は誰かが話すことを、その人の顔を見ながら聞いておきたいよ。声だけじゃわからない熱量を感じていたいよ。
— Konomu*書評ライター (@komsuke_56) 2017年8月5日
レポートその2は、トークセッション終了後の合同質疑応答タイム、その3では交流会の様子、その4では個人的感想をお届けしていきます。
※できあがり次第ここに順次リンクを貼っていきます。
そして、この長文をここまで読んでくれた方へ。
感謝の念でいっぱいです、ありがとうございます。続きもよろしくお願いします。
※その2ができたので追記(2017/08/07)
※その3で終わったので追記(2017/08/10)