書評ライターKonomuの苦悩

フリーライターの悩みと打開策、日々の出来事などいろいろ書いています。

【書籍紹介と読書感想文|桐島、部活やめるってよ】子どもでもなければ大人でもない、17歳のリアルな青春物語

昨日、【書評】【レビュー】【書籍紹介】【読書感想文】についてフォロワーさんたちとしばし熱く語るひとときがありました。

世の中、読書感想文めいたものを【書評】と称するものがたくさんあり、個人的にもやもやしていたのですが、皆さんの意見を聞いて私だけがもやもやしているわけではないのだなぁ、とほっとしました。

”自分”が登場する時点で、もはやそれは【書評】ではない、というのが私の持論です。
「~と思う」「~は私に足りてない」「感動した!」といった言葉が登場したら、それは【レビュー】か【読書感想文】(二つは同じカテゴリーだと考えています)です。

どれらも同じく”本の紹介”なので、いずれかが最良で優秀、というわけではありません。なので、内容によって、私は「これは読書感想文やねん!」と堂々と言いたいです。

「よし!読書感想書こう!」と思い、自分的ネタを探したところ【書籍紹介】と【読書感想文】が混ざっていたネタがほとんどだったので、今回のタイトル冒頭は【書籍紹介と読書感想文】となりました。 

前半、書籍紹介。後半、読書感想文。と2部に分けてご紹介します。

桐島、部活やめるってよ』ざっくりとしたあらすじ

著者、朝井リョウ氏は、本書で第22回小説すばる新人賞を受賞し現役大学生作家としてデビューを果たしました。
2012年に神木隆之介主演で映画化され、一躍その名を世に知らしめた有名な作品です。映画は日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しています。

本書は5名の登場人物名を各章のタイトルにしたオムニバス形式の小説。

田舎の県立高校バレー部のキャプテン・桐島が、突然部活をやめたのが事の発端。たったそれだけの事実が、周囲の同級生の心に、まるでスポイトでしずく一滴を落としたように小さな波を起こしていきます。部活も校内での立場もまったく違う5人それぞれに起こった小さな変化とは……

17歳、真っ白なキャンバスに希望に満ちあふれる未来を描けるほど幼くはなく、はっきりとした夢を持って駆け抜けられるほど大人でもない微妙な年齢です。これじゃダメだとわかっていてもなんとなく過ごす日々。

クラス内での上下を気にしたり、同級生をうらやんだり、自分を諦めたり。大人になってある程度の余裕を持って振り返れば、なんてちっぽけなことで悩んでいたんだろうと思うことも、17歳の彼らにとってはいつも真剣で、高校を卒業するまでつきまとうものなのでしょう。

本書で面白いのは、『桐島、部活やめるってよ』というタイトルにもかかわらず、桐島が一切登場しない点です。”桐島という存在の不在”で17歳の気持ちを生々しく描写し得た、当時19歳の著者のセンスに驚かされます。

きっと私自身もそうだった

自分は誰より「上」で、誰より「下」で、というのは、クラスに入った瞬間になぜだかなんとなくわかるものでした。自分の役割を果たすのに、立場を務めるのに必死だったように思います。

小学生・中学生時代の私は、”THE 優等生”だったので、先生や親の期待に沿う子どもでいなければ、という意識がありました。高校はやはり同じレベルの生徒たちが集まるので、そうした意識から解放されほっとしました。

一番楽しく充実した学生生活を過ごせたのは高校です。なので母校愛もめちゃくちゃ強いです。

大学ではもはや”THE 劣等生"。愛嬌だけで乗り切った気がします。勉強はつらかったけれど、とても気楽でした。

社会人になって、小・中の同窓会で友人に再会することに戸惑いを感じたこともあります。ひとたび再会すると、当時の記憶はあいまいで美化されていて、必死だったことも「青臭かったなぁ」という一言で片づけられてしまうのですが。

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

 

次こそは純粋な【読書感想文】を小学生の頃に課された原稿用紙4枚程度の文字量で書いてやる!と思っています。