書評ライターKonomuの苦悩

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【書籍紹介|星の王子さま】60年以上愛されるロングベストセラー|かつて子どもだったすべての大人に読んでもらいたい本

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最近、『星の王子さま』に関するブログやTweetを見かけることが多く、それらに触発され、私なりの解釈でこの本を紹介したいと思いました。
長文ですが、できれば最後までお付き合いください。うーん、できればというより無理やりお付き合いいただきたい。

あまりに有名な書籍です。

あなたはこの本を読んだことはありますか?
あなたはこの本にいつ出会いましたか?
あなたはこの本を読み返したことはありますか?

最初の2つの質問に対する答えは人それぞれでしょう。
ですが、3つ目の質問に対してはほとんどの人が「ある」と答えるのではないかと思います。

私と『星の王子さま』との出会い

私が『星の王子さま』と出会ったのは小学1、2年生の頃だったかと記憶しています。
父の書棚に何気なく並んでいて、でも書棚で圧倒的な存在感を放っていた本でした。父が持っていた本ですから、とても古い装丁です。

岩波書店から発行されていて、1969年の第30刷。ハードカバーでブックケースがついています。240円という価格も時代を物語っています。

小学生でどうやって読んだんだろう、と疑問に思われる方もいるかもしれません。大丈夫、すべての漢字にふりがなが振られています。小学生でも読むのは読めます。

当時、どのように解釈したのか覚えていませんが、私の心を揺さぶる本であったことは間違いありません。

出会いから30年(超)、新卒入社で地元を離れるときも、留学時も、3カ月の短期出張で家を離れるときも、いつも一緒にとても身近に置いている本だからです。

実はさまざまな『星の王子さま』がある

私が持っている『星の王子さま』の訳者はフランス文学者の内藤濯さんです。

日本では岩波書店が独占的な翻訳権を有していましたが、原著の日本における著作権の保護期間が2005年1月22日に満了し、論創社・宝島社・中央公論新社など数社から相次いで新訳が出版されました。

以下に出版社とタイトル、訳者をいくつか挙げますね。

お気づきでしょうか?出版社によって本のタイトルも変わっています。

お持ちの『星の王子さま』がどの出版社から発行されているか、訳者は誰か、ぜひチェックしてみてください。

星の王子さま』の解釈はさまざまです。なぜなら訳者がたくさんいるから。

どの本を読んだかによって受け取り方が違うかもしれません。
私も岩波書店以外の『星の王子さま』をいくつか読んでみましたが、どれもしっくりきませんでした。

他の訳者の『星の王子さま』がいい悪いではありません。

ただ私にとって唯一無二の『星の王子さま』が、内藤濯によって訳されたもの、というだけです。

これまで自分の言葉でこの本について語ることができなかった理由

私は仕事として多くの本の書評を手がけてきました。また仕事でなくともさまざまな本の感想をそこかしこで述べています。

ですが、この本については、幼い頃から何度も読み返しているにも関わらず何も書かずにいました。

なぜなら、読むたびに心に響くシーンが違うこと、そして、あまりにも有名な著書でありながら、自分だけが知る特別な本として大切に置いておきたいという想いがあったからです。

きっとこれから綴る内容もやがて過去のものとなり、未来では違うものになりえるかもしれません。

だいたいのあらすじ

物語は砂漠の真ん中に不時着した一人のパイロットが、「羊の絵をかいて」という不思議な少年星の王子さまと出会うところから始まります。

王子さまの家は少し椅子をずらせば何度でも夕日が見られるほどの小さな星。
彼はある日、そこにある二つの活火山と一つの休火山、そしてあまり謙遜ではない美しい花を残し、旅に出ることを決意します。
旅の途中でさまざまな星に立ち寄り、ばかばかしい大人たちと出会いながら、ようやく地球にたどり着き、ある一匹のキツネに出会い友達になります。

ここまでは王子さまがパイロットに語った旅物語で、以降はパイロットと王子さまの物語へと移っていきます。

あまりに有名なフレーズ「かんじんなことは、目には見えない」

さて、本書においてとても有名なフレーズがあります。
読んだことのある人であれば、このフレーズに心揺さぶられることと思います。それはー

「かんじんなことは、目には見えない」

これは王子さまの初めての友だちであるキツネが、王子さまとの別れ際に伝えた言葉です。

今、あなたの周りを見渡してみてどうでしょうか。
SNSが猛スピードで普及するこの時代に、溢れんばかりの情報に流されて、かんじんなことを見失っていないでしょうか。

かつて子どもだったすべての大人に読んでもらいたい本

私はこの本に出会って以来、仲良くなりたい、もっと知りたいと思う人たちには必ずと言っていいほど、好きな色、好きな音楽、好きな国など、”好きなもの”を尋ねるようにしています。

彼ら(もしくは彼女たち)の年齢や学歴、肩書、年収などは私にとって特段大切でなことではないと私自身がこの本から教わったからです。

この本が世に出て60年以上の年月が経ちますが、いまなお愛され続けている背景には、大切なものを見失ってほしくない、見失いたくないという思いを持つ”かつて子どもだった大人”が大勢いるからでしょう。

この本を愛するあなたもまた、そのような人なのです。