書評ライターKonomuの苦悩

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秋の夜長にタイムスリップ!オススメ時代小説5選

もう少し若い頃は、1週間に1冊、月4冊、年間約50冊の本を読んでいた私。

もっともっとたくさんの本を読んでいる読書家は、数多くいらっしゃると思いますし、そんな読書家さんとくらべると恐縮ですが、せっかく”読書の秋”なので、個人的にオススメしたい本をシリーズ化してブログで紹介していきます。

作者ごとにするか、ジャンルごとにするか迷いましたが、今回は『時代小説』というジャンルでの紹介です。

時代小説ってなに?歴史小説と同じじゃないの?

時代小説は歴史小説とは似ているようで違うジャンルです。
「実在の人物が登場して、史実に沿って話が進む」のが歴史小説
それに対して時代小説は「過去の時代背景を用いて、架空の人物、または史実に沿わない歴史上の人物の活躍を描く」もの。

『呪文を唱えたら炎が出た』『妖怪があたかも人間のように暮らす』

超常現象を含む架空の世界であるファンタジーの舞台が、江戸時代だったり、平安時代だったりするようなものです。司馬遼太郎先生の諸作品は歴史小説ですね。

それではオススメ時代小説を紹介していきます!
数字はランキングではありません。すべてがオススメです!!!

1.『ぼんくら』/宮部みゆき

ぼんくら

長編好きにも短編好きにもオススメ。
本作の主人公はいわゆる「ぼんくら」な怠け者の用心棒、平四郎です。

一話完結型のエピソードを読み進めていくと、長編ミステリーへとつながっていくという構成になっています。

宮部作品の魅力って、登場人物の描写にあると思います。
本作も愛らしい平四郎だけでなく、みんなの世話役・未亡人のお徳や事件をともに探る美少年で頭の切れる甥っ子・弓之助など個性豊かなキャラクターが登場します。

『ぼんくら』の後に『日暮し』『おまえさん』とシリーズ化されており、続きを読み進めたくなること間違いなしです。

宮部みゆきさんの時代小説は他にもオススメしたいものがたくさんあるので、作家ごとのオススメ小説で紹介したいと思います。

2.『しゃばけ』/畠中恵

しゃばけ

江戸の大店長崎屋の一人息子である一太郎(若旦那)と、愉快で愛嬌たっぷりな妖(妖怪)が繰り広げる、心あたたまるファンタジーです。

畠中恵さんは2001年にシリーズ第一弾となる『しゃばけ』で日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞を受賞し、デビューされました。

ちなみに『しゃばけ』はNHKでドラマ化されています。
若旦那はNEWSの手越祐也さん。
仁吉(若旦那のお守り役)を演じる谷原章介さんや、妖の一人で鈴彦姫を演じる早乙女太一さんの美しさったら……

しゃばけ』シリーズはこれまで全15作が刊行されています。
シリーズを追うごとに若旦那もきちんと年齢を重ねていくので、まるで我が子の成長を見守る母親であるかのような気持ちにさせられます。

畠中恵さんも同じく、他にオススメしたい小説がたくさんあるので、作家ごとのオススメ小説で紹介したいと思います。

3.『陰陽師』/夢枕獏

陰陽師(おんみょうじ): 1

主人公の安倍晴明は、平安中期の天才『陰陽師』。
安倍晴明自体は実在の人物なのですが、清明の史実はあまりに不思議なことが多いので、ファンタジーと絡めて描かれることが多いです。

ずっと以前から、書きたくて書きたくてたまらなかったのが、平安時代の話である。
闇の話を書きたかったのだ。
鬼の話を書きたかったのだ。
その頃には、まだ、闇も鬼も、人の居る空間に残っていたからである。
そして、安倍晴明という男の話を書きたかったのである。
その思いがかなって、およそ、足かけ三年ほどかけて、あちらこちらに、ぽつりぽつりと書いてきた、安倍晴明という陰陽師の話が、ようやく本になることになった。
こんな嬉しいことはない。
晴明と博雅のかけあいは、書いていても楽しかったよ。
いい気分だ。
(著者あとがきより)

夢枕獏さんの想いが伝わる作品です。
決しておどろおどろしいストーリーではありません。
知らず知らずのうちに「怨み」を生んでしまう人間の哀しさが、一編一編の話からにじみ出ています。

「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。

本作内の晴明と博雅のこのやり取りこそが『陰陽師』。
抜粋過ぎて意味がわからないと思いますが、読めばこのやり取りこそ!の意味をわかってもらえると思います。

陰陽師』シリーズはこれまで全16作が刊行されています。
晴明を野村萬斎、博雅を伊藤英明が演じた映画も素晴らしかったですよね。
映画を見てからのほうがスムーズに物語を読めるかもしれません。

4.『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』/夢枕獏

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 (角川文庫)

中国伝奇小説、執筆に17年かけたという著者畢生の大作シリーズです。
空海が唐に渡り、楊貴妃の謎に関わりそれを解明し、密教を得て帰国するまでのお話です。
こう紹介するとめちゃくちゃシンプルに聞こえますが、空海が呪術で妖物と対峙するシーンが違和感なく描写されています。

全4巻。文庫分にしてはそこそこ厚みがあるし、長いのですが、ページをめくる手は止まりませんでしたねぇ。

刊行当初から映画化が話題となっていました。
(いつだろう?いつだろう?)とワクワクしていたのですが、本作品が原作で、映画タイトルは『空海―KU-KAI―』となるようです。

2018年公開予定。日中合作ということからも、本作のスケールの大きさがわかります。

5.『影法師』/百田尚樹

影法師 (講談社文庫)

最近何かと過激発言の多い百田尚樹さんですが……

時は江戸時代の茅島藩(架空な藩)の下士の家に生まれ、幼い日に目の前で父親を切り捨てられた勘一(後の名倉彰蔵)と 中士の家の次男に生まれ、剣も才も人並み外れて優れた磯貝彦四郎。

彦四郎は「卑怯傷」を追ってその生涯を終えてしまいます。
頭脳明晰で剣の達人。将来を嘱望された男がなぜ不遇の死を遂げたのか。
勘一は親友がたどった生涯を調べ始めます。男の友情が描かれた作品です。

個人的に『永遠の0』の次に好きな作品です。

私にとっての時代小説:宮部みゆき畠中恵作品が圧倒的に多い

本当は10選にしたかったのですが、私は『時代小説』というジャンルではなく、宮部みゆき作品、畠中恵作品の時代小説が好き、なようです。
夢枕獏作品は先に述べたシリーズしか読んでいないので、ズルですが2作品紹介させていただきました。

オススメ時代小説がありましたら、ぜひ教えてください!